啓蟄と花粉症のお話
2020/03/07
3月6日は二十四節季では「啓蟄(けいちつ)」。
「啓」は「開く」、「蟄」は「冬籠りの虫」を表し、
冬眠から目覚めた虫や動物たちが土から出てくるころ、という意味です。
虫たちが土から出てくるという状態は、
「深くに籠っていたものが表面的に出てくる」時期。
ある意味、冬の間にため込んでいた毒素を、排出していく時期とも言えます。
この時期のメジャーは花粉症。
目や鼻の痒みといった一種の炎症は、東洋医学的に「熱」と考えています。
花粉症になるまでの大きなメカニズムとして、
①冬場に十分な休息・睡眠・適度な運動習慣がとれていない。
②冬は「下・内」に向かって身体のエネルギーが向かうが、そのエネルギーを十分に養えない。
③結果的に疲れがたまり、「熱(炎症のもと)」や「湿痰(鼻水のもと)」をためてしまう。
④春は「上・外」に向かって身体のエネルギーが向かい、身体のお掃除を始めようとする。
⑤しかし冬の疲れで「下・内」のエネルギーが弱いため、春の勢い「上・外」を制御できず暴走。
⑥結果的に、頭や顔といった、「上」に熱や湿痰が向かってしまう。
そして発症。
ざっくりとこんな感じですね。
花粉症を抑えるお薬もたくさんありますが、生活習慣を見直す必要があります。
症状が出るということは、その生活習慣不自然だから気づいてねっていう「何らかのサイン」です。
「熱」を主体とした赤みや痒み、「湿痰」を主体とした鼻水ぐしゅぐしゅは、“体外に排出されている姿”なんです。
本来であれば、大便や小便・汗といった正規ルートから排出されますが、
生活習慣が乱れて体のバランスが崩れると、非正規ルート(目・鼻・耳・口・頭皮など)から排出される。
耳にくれば、中耳炎というかたちですね。
口にくれば口内炎や歯茎の腫れ、頭皮だと痒みや円形脱毛症にも繋がります。
こんな感じで、眼科や耳鼻科など何科というふうに分けずに、空間的にみていくのが東洋医学の特徴でもあります。
花粉症にも鍼灸は効果がありますので、ぜひ治療を受けてみてください。
また、啓蟄の「啓」は「開く」という意味があると書きましたが、
「閉じているものを開く」すなわち、
「古い考え方を一旦置いて、新しい自分を出していきませんか?」
という意味もあるように、個人的に感じています。
啓蟄の流れに乗れるように、いい鍼していきます。