第二回東洋医学健康講座②
2021/01/25
前回のブログでは「舌診」と「脈診」について書かせて頂きました。
では次に「腹診」について。
流派はいろいろあるのですが、私は無分流腹診という見方でとらえていきます。
詳しくはこちら☞お腹を診る歴史
「腹診」も舌診や脈診と同じく、全身の縮図としてみていきます。
まず、健康なお腹の状態とはどんな状態か?
イメージしてほしいのは、「赤ちゃんのお腹」。
ふわふわとして適度に弾力もあって、色つやも良い。
これは、うちの子が生まれて4か月くらいの写真です。
余計な緊張もなく、緩んでもなく、冷や熱感もなく、純粋そのもの!
まさに「邪」がない状態です。
で、私たちは、お腹をみたときに「緊張している場所」を探していきます。
(※厳密には、発汗の状態や寒熱、毛穴の開き具合などもみますが、そこは複雑なので省略します。)
そして、「腹壁の緊張=邪」としてとらえるのが、私たちがしている腹診になります。
ではもっと、腹診の世界をご紹介(*^-^*)
一見、なんだかよくわかんない、不思議な図に見えますよね。
これは臓腑配当図といって、お腹の各部位を見ていくことで、どの臓腑に反応があるのかがわかるんです。
これを照らし合わせていくと・・・・
こんな感じですね(^-^)
みぞおちが「心」の箇所になり、例えばこの「心」の箇所に緊張があると、
精神的な症状、不安感や焦り、寝つきが悪くなる、といった症状が出てきます。
その左右にある「脾募(ひぼ)」。
ここは消化吸収能力が落ちて、吸収されなかった余計なもの(湿痰)が溜まりやすい場所。
この湿痰が「心」を衝くと、高血圧になって、めまいや頭痛が起きやすくなります。
などなど・・・症例を挙げるときりがありませんが、お腹の世界で様々なことがわかります。
また、おもしろいのが、空間的な縮図としてみることもできます。
これも照らし合わせて・・・・
こんな感じで、とらえていきます。
おもしろいでしょ?(*^-^*)
全身の縮図としてみると、
みぞおちにあたる「心」が「頭や顔」。
「脾募」が「肩」。
「肺先」が「肘~指先」。
「肝相火」が「身体の側面」。
「腎相火、腎水」が「腰、下肢」。
という風に、配置されます。
で、実際に臨床でも、この図の通りに反応が出ます!
例えば、左肩が痛かったら「左脾募」に反応が出ています!
で、先ほどの「臓腑配当図」とこの「空間的全身の縮図」を使って、内科を始めとした幅広い疾患や整形外科疾患をみることができるんですね。
緊張する場所を探すと書きましたが、緊張にも「深さ」があり、深いところに緊張があるほど重いとみます。
その緊張を、皮膚表面、浅いところに浮かび上がらせてくるように、治療していくんですね(^-^)
ではちょっとまとめてみましょうか。
「心」の緊張・・・
肩凝り、咳、痰。
喘息、肺気腫、心臓の病、脳の病、精神的な疾患、高血圧
「脾募」の緊張・・・
葛根湯証(カゼの初期)の肩凝り、頚腕症候群
頑固な脾胃の病、慢性の痼疾(長く完治しない病気)、腎臓病
「肺先」の緊張・・・
同側の上半身(特に肘関節から手指まで)の症状
咳などの呼吸器疾患
「肝相火」の緊張(大抵の病にあります)・・・
体側、手指の症状
腰部捻挫、眩暈、耳鳴、耳聾、転筋、中風の後遺症、リウマチ熱、坐骨神経痛、三叉神経痛、虫垂炎の手術後、胆石疼痛
「右腎相火、左腎水」の緊張・・・
腰痛、足の病、 冷え込みによる病症
慢性ののど疾患、耳疾(耳痛、中耳炎など)、中でも耳の奥の方の病、のぼせて頭痛を起こすもの、頭(後頭部)の凝りを伴う、項が凝って眼の奥が痛む、下半身に関する各種の病、婦人科疾患
ざっとこんな感じです。
これでもごく一部。書ききれないです(笑)
臨床の世界では、一部分だけに緊張があるわけではなくて、複雑に絡み合っています。
その中で、どこがメインとなって「ひずみ」を生んでいるのかを探して治療していきます。
複雑であるからこそ、身体はシンプルなものを求めているんですね(^-^)。
だからこその鍼1本!
腹診は本当に奥が深い!書き足りないけどこの辺で♪
次回は「背候診」。
背中を全身の縮図としてとらえる見方ですね。
続く・・・