風姿花伝から学ぶこと
2019/11/22
能楽の聖典
風姿花伝
前回、夢分斎のことを書きました。
今回は、夢分斎のが生まれる前の時代背景、興味あったんでいろいろ調べてみました。
観阿弥(かんあみ)・世阿弥(ぜあみ)って名前は聞いたことあるかなと思います。
二人は親子。観阿弥がお父さんで、世阿弥が息子。
世阿弥のプロフィール。
世阿弥(1363~1443)は室町前期の能役者・能作者。
本名は観世元清。通称三郎。
足利義満の後援を得て、能楽を大成した。
で、息子の世阿弥が書いた著書の一つが「風姿花伝(ふうしかでん)」なんです。
この風姿花伝は、「能楽の本」として広まっていますが、内容がおもしろい!
明治時代に再発見されて、現在にかけて広まっていますが、読まれているからには理由がある!
風姿花伝は「勉強論」であり、「教育論」でもある魅力的な本なんです。
学び続けること・成長のための努力を続けることの大切さ、「初心忘るべからず」という格言はこの風姿花伝から生まれました。
なんでこの本の紹介をしようかと思ったかというと、鍼灸に、あらゆる職業に繋がってくる部分があるように感じたからです。
読んでいく中で面白かったのが、世阿弥が能の極みとしているところが、「人々の幸福を増長し、その寿命まで延ばす役者」。
原文には、
「そもそも、藝能とは、諸人の心を和らげて、上下の感をなさん事、壽福増長の基、遐齢・延年の法なるべし。極めては、諸道悉く、壽福増長ならん。」
訳すと、、、
「そもそも芸能は、人々の心を和らげて、身分の上下を超えて皆が一体となれる感動を生み出せるもの。
だからこそ芸能は、人々の幸福を増長し、その寿命を延ばすことができる。この道の究極はいつまでも幸せで、いつまでも健康な人生を人々に提供するのだ」。
と書かれているんです('ω')ノ
また、具体的に人を幸福にするとは、「初心を忘れずして、時に應じ、所によりて、愚かなる眼にもげにもと思ふやうに能をせん事、これ、壽福なり。」
ここすごく共感!!
どうゆうことかと言うと、三因制宜(時・場所・人)を意識することが一流になるための道、とあります。
東洋医学においても同じく、この三因制宜がとっても大事。
三因制宜とは、
因時制宜(インジセイギ)・・・季節や気候変化に基づいて治療法が変わる。
因地制宜(インチセイギ)・・・地理、気候条件、生活環境等に基づいて治療法が変わる。
因人制宜(インジンセイギ)・・患者の体質・年齢・性別に基づいて治療法が変わる。
同じ病気、病態であっても、三因すなわち「時」「地」「人」の三つの要素によって治療方法が異なるという考えです。
その患者さんが元々どういう人で、症状はいつから・どこで発症したのか、ということを一人一人問診で聴いていく必要があるんです。
風姿花伝で言うなら、この三因制宜を意識した治療は、その患者さんの幸福度を上げること・健康にすることに大きく関わるんですね。
わかる気がする('ω')
私自身そうなんですけど、人から関心を持ってもらえたら嬉しいんです。幸福度が上がる気がするんです。
だからこそ、その人の三因制宜に関心を持ちたい。
その人が普段どんな時に、どう感じて過ごしているのか。
話している声のトーンや表情から、「ああ、こんな気持ちなのかな」とか少しでもその人の人生に寄り添いたい。
わからないけど、わかりたい。
風姿花伝というタイトル。
世阿弥は、能の演技によって役者が輝く瞬間を「花」と呼ぶ。
ここ私的には好きなところで、次回「花」について感じたことを書こうと思います。
最後まで読んでくれてありがとう。