お腹を診る歴史
2019/11/15
日本伝統はやっぱりすごい
夢分流打鍼術
日本では、日本人の体質・風土・習慣などに合った独特な“日本的な鍼”があります。
腹診といってお腹をみることで臓腑の異常や身体のバランスの異常を知る方法があるのですが、この腹診も日本の伝統的な診方の一つ。
腹診から得た情報に従ってお腹に鍼をする夢分流打鍼術があります。
その名の通り、夢分斎が編み出した治療方法なんです。
この伝統的な診方が現代でも生きている、そう考えるとすごいことですよね!!
ここで夢分斎の紹介を少し。
夢分斎(1559~1616)は江州の禅僧。あるいは奥州二本松の人とも言われます。
夢分斎は京都大徳寺の閑松院の禅僧であった時、母親が極めて病者であり、夢分斎はなんとかしてあげたいと嘆きました。
母孝行のため、時の名人医師 くすし から捻り鍼を習得して、朝夕母を治療したが重病のためか効 果が無し。。。
工夫を費やし、案を巡らし、遂に自ら編み出した腹部打鍼術で母の重病(沈痾 ちんあ )を治した。とあります。
そうなんです。お母さんの必死で救おうとする中で編み出されたのがこの打鍼術なんです。
夢分斎は「心持の大事」といって、鍼灸を実践する上での心構え・姿勢、いかなる心を持って鍼灸医学を実践するかを説いた人です。
夢分流の“鍼道”は禅の根本的精神、”無心”と深く関わり、心持の大事の中で、打鍼は、無心の心で極めることが大切と述べています。
目の前にいる人をなんとかして治してあげたい。
ただただ純粋な想いで診る。
道具や方法にとらわれない無心に成って初めて本物になりますよーって言ってるんですね。
ここからは妄想ですが、お母さんを救いたいという気持ちが医学となり、現代まで引き継がれていることは、きっとお母さんの愛が大きかったように思います。
お母さんが夢分斎にかけた愛情が難病を治すきっかけになった、このお母さんありきの夢分斎。
どんなお母さんだったのかな。
強気で他人のためにずっと動いてそう(笑)
夢分斎が幼いころに風邪ひいたり、お腹の調子崩したりしたときには、「大丈夫大丈夫」ってさすってあげてたんだろうな(^^)/
ホッと安心できるお母さんの手当て。
我が息子をみていてもお母さんの存在は偉大だなって思う。
お母さんの手当てを見ていると「ああ、これが原点なんだな」って感じるんです( ^^)
医学に素人の母親の一心になった時の背中やお腹を擦る手当てこそ、無心の心、無心の手当てだと思う。
そんな意識で、夢分斎の気持ちをイメージしながら鍼をしていきたい。
素晴らしい伝統を残していただいてありがとうございます(^^♪